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US Championship 2012
 チェスの良いところはほぼ年中どこかで大会が開かれていて、トップクラスのマスターたちの試合がリアルタイムで楽しめることだ。今月のメインイベントはAnand-Gelfand World Chess Championshipで、ここまで2試合が終わって2引き分け。他にも47th Capablanca Memorial(Ivanchuk・Nepomniachtchiなど6名)や20th Sigeman and Co Tournament(Caruana・Leko・Giriなど8名)、そしてUS Championship 2012だ。

 全米選手権の優勝予想投票で1番人気はNakamuraでもKamskyでもなく、Akobian!!・・・よく読むとチェスボクシングだったら、という仮定の質問だった。
 ここまでのゲームで目に着いたのがKamskyの下記のゲームです。

 
G.Kamsky vs A.Onischuk 1-0
 US Championship 2012 (3)
 Indian Game

 


 31.b4!(上図)
 Qサイドは黒に譲り、白はKサイドで戦いを起こすことにした。
 また、すでにcファイルが黒に支配されていて、白のRが活用できるオープンファイルがないので、bファイルのポーンを取らせて新しいオープンファイルを作ったことにもなる。

 31...Qxb4 32.Qxh5 Qxa4
 局面が落ち着いてしまったら、黒のa列パスポーンが将来的に脅威になる可能性がある。黒のQが戦場を離れている隙に押し切ってしまいたい。

 33.e5 dxe5 34.fxe5
 白マスBを利きを通した。余談だが駒の“きき”は“効き”ではなく“利き”が正しいようだ。厚顔無恥に効きと書いていた自分が恥ずかしい。

 34...Rc5
 ここでBが退いていては、35.e6を食らう。このピンでそれを防いだわけだが、バックランクを白に明け渡したとも言える。

 35.Re1
 落ち着いてeポーンを堅守。これで次に36.Bxg6 fxg6 37.Qxg6から38.e6が狙える。

 35...Nf8 36.Qg4 Be7

 


 今度はピンを外して、Bにスレット。
 白マスBの利きが開通し、黒の守備兵だったNとBはK頭上から退いた。

 37.Rb1
 オープンファイルにRを展開。b列かf列か迷うが、Rf1からf7にプレッシャーをかけても追撃が難しい。それよりはRb8でf8のNをピンにしておいてQh7#を狙う方が直接的でシンプル。

 37...Qd7 38.Bf5 Qd5 39.Rb8 g6?
 おそらくNのピンを外すためg6-Kg7と組みたかったのだろうが、一手遅い。このg6のポーンは格好のサクリファイスターゲット。

 40.Re8!

 

 一度Bを守るために黒のRを退かせることでBxg6後のQ交換を避けている。
 この手を指さずに攻めると40.Bxg6 fxg6 41.Qxg6+ Kh8で42.e6に対して42...Qf5を許してしまう。
 この類の緩急の巧さがKamskyらしいなぁ、と感心する。

 40...Rc7
 これ以外の防御がない。
 40...Qb7 41.Bxg6 fxg6 42.Qxg6+ Kh8 43.Qh6+ Kg8 44.Qe6+ Kh8 45.Bh4 Rc6 46.Qf7±
 40.Bd8? 41.Bxg6 fxg6 42.Qxg6+ Kh8 43.Rxf8+ Qg8 44.Qxg8#
 40.Bd6 41.exd6 Qxf5 42.Qxd4±(△43.Rxf8+ Kxf8 44.Qh8#)
 しかしこれで白がe6を突いた時にBの射程範囲に入ってしまった。

 41.Bxg6 fxg6 42.Qxg6 Kh8 43.e6 Rb7
 念のため前述の40.Re8でQ交換が出来なくなったことを確認しておこう。43...Qg5?? 44.Rxf8+ Bxf8 45.Qxg5±

 44.Qf7 Rb2
 一発逆転の45...Qxg2#を狙ったが白の攻めの方が先だ。

 45.Rxf8+ Bxf8 46.Qxf8+ Kh7 47.Qf7+ Kh8 48.Qe8+ 1-0
 以下、48...Kh7 49.Qd7+ Qxd7 50.exd7で次のプロモーションが止まらない。


 5Rが終わって首位Nakamura、0.5ポイント差で2位がKamskyと上位2人が順当に上位争いをしている。事件と言えば1Rで衝撃的なブランダーあった。
 Stripunskyはショックを受けたか翌日もQハントに嵌り劣勢に陥り連敗を喫したが、ちゃんと復調して5Rで星を五分に戻したのだから立派だと思う。

author:ゆずゆぐ, category:Tournament report, 21:57
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Golden Open 2012
 Golden Openの3日コースに参加してきました。
 
 すでにご存じかと思いますが、全日本選手権は南條さん、ゴールデンオープン3日コースは馬場さんが優勝です。おめでとうございます。
 
 私の成績は5.0/8(4勝2敗2引)の5-11位グループでした。開始時の順位が12位なので、順当と言えばそれまでですが、目標としていた入賞及び、6ポイントには届かずという残念な結果でした。去年もそうですが、あと1ポイントの上積みができないのが歯痒いところ。
 結果的には去年と同じですが、内容は去年の方が良かったかなぁ、というのが正直な感想。キースクエアに対する意識は去年より上がったのですが、相手のKを狩りに踏み込むことが欠けていた、大会全体を通して受けのチェスをしていたのがそう感じる理由でしょう。

 社会人生活が始まったこともあり、「会社はどう?」と大会中よく訊ねられましたが、童心のまま大人になってしまった(ピーターパン症候群?)私には答えに窮する質問でした。メンタル面で何か急激に成長したわけではないので、習慣についてですが学生時代と比べて明確に変わったのは生活リズムか良くなったこととスケジュールを組むようになったことの2点です。
 怠け者の私は時間が余っているといつでもできる故に先延ばしする悪癖がありましたから、今の生活の方が良いような気がします。

 ブログの更新ペースが落ちたり、内容が簡略化していくのはご容赦ください。(尤も、今回は見せられるような棋譜がないことも一因ですが…)

 チェス漬けのゴールデンウィークが終わり、少々寂しいですが、来年もまたゴールデンオープンかはたまた全国大会か、どっちになるかは分かりませんが、参加したいです。
author:ゆずゆぐ, category:Chess Library, 00:04
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Kramnik vs Aronian Match
 Kramnik vs Aronian Match
 開催地はスイスのZurich(チューリヒ)。
 元世界チャンピオンのV.Kramnikと現在レイティング第2位のL.Aronianが6局のクラシカルマッチで、2800over同士のマッチ形式での対決は史上初とのこと。

 マッチの結果は3.0-3.0の引き分け。 
 決着が付いたのは2試合で、初戦をAronianが、3試合目をKramnikが勝っている。あと特筆すべきは白番でAronianが初手でe4を採用してきたことには驚かされた。
 
 初戦はQレスの中終盤で、お互いにダブルRとマイナーピース1つを残した駒割りから、Kramnikはe列でRを縦に重ねて、29.f4でファイルを開こうとした。直後、b列に回ったAronianのRがセブンスランクを食い破り、最後は白馬を罠に嵌めた。

 3試合目の方は、Kramnikは初戦のSlav Defenseから序盤を変えて、Four KnightsのScotch Variationを選択。Aronianは11.Nxc3でQを手放してR+Bと交換、得意なUnclearな局面に持ち込もうとしたが、Kramnikには通じなかった。

 


 Kramnik vs Aronian Position after 14...Ne3

 Aronianの狙いは15...Bf4 16...Nxg2でQを串刺しにすること。
 他にも15.Nd4 Bf4 16.Kb1 Nxf1 17.Qxf4 Re1+で黒逆転などの手順も孕んでいる。
 
 これに対するKramnikの15.Bb5!が秀逸でAronianの上記の狙いを空振りさせた。15...Bf4に対しては16.Ne7+の反撃がある。黒の暗色Bの効きがd8から外れているので、16...Rxe7ができない。16...Kf8 17.g3と進んでゴチャゴチャと交換が進むが白良しに収束するようだ。

 コンピュータが次善とした15.Nb4 Bf4 16.Nd3 Bh6 17.f4と比べると展開で本譜の方が優れている。
 
 さて、Aronianは15...bxc6と応じて、16.Bxc6からしばらく進むと白Qに対して、黒R+B+N。対抗するには十分な駒割りに思えるが、Qサイドのポーン数の差が響いた。

 対局後の会見で、15...Bf5の分析について話が出た。
 15...Bf5 16.Nd4 Bf4 17.Bxe8 Nxg2 18.Bxf7+ Kxf7 19.Qxf4 Nxf4 20.Nxf5

 

 Analyze Position 20.Nxf5

 白が1ポーンアップだが、勝つにはまだ難しい局面。
 Kramnik相手に1ポーンダウンの終盤戦で守りきるのは精神的に辛いが、粘るならこうだろう。

 でもAronian曰く “I didn’t sacrifice my queen for this.” とのこと。
 確かに上のR+Nのエンディングを見せられるよりは本譜の方がエキサイティングで楽しめた。だから私は彼のファンなのだ。
author:ゆずゆぐ, category:Tournament report, 18:53
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5月、6月(S83)の予定
 S82のレイティングは1815(-34)でかろうじて1800台を維持していました。
 百傑戦、静岡県選手権と微妙な結果が続きましたから仕方ない結果でしょう。
 4Rなら3ポイント、6Rなら4ポイント以上を目指さないと1800からレイティングを上げていくのは無理ということですね。

 2012ゴールデンオープン 5月3日()、4日()、5日()
 1日コースと3日コースがありますが、後者にエントリーしました。
 今日の午前中にホテルと往復の新幹線のチケットを確保しました。新幹線の指定席はすでに満席だったのでちょっと値段は張りますがグリーン車に乗ってみることにします。
 去年のゴールデンオープンは最終ラウンドで負けて入賞を逃す痛恨の結果でしたから、今年こそはという気概で臨みます。
 また同時並行で開催される全日本選手権は後半の佳境に入るところです。全国の猛者たちの集う独特の雰囲気を体感して、来年はここに行くんだ、という気合いを充電してきます。

 東海オープン2012 5月27日()
 最寄りの名古屋チェスクラブの大会なのでいつも通り参加します。
 最初に書いたとおり4Rの大会なので3ポイント以上を目標に設定します。
 おそらく3ポイントなら入賞に引っかかるハズです。

 岐阜CC例会 5月20日()
 いつもと違い日曜日に開催します。参加者の皆さまはご注意を。
 ゴールデンオープンで賞金が入ったら何か備品を追加購入したいと思います。
author:ゆずゆぐ, category:Chess Library, 22:29
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Russian Team Championships 2012
 新年度を迎え、進学や就職の季節となって新生活に慌しいのは私だけではないだろう。
 13th European Individual ChampionshipはD.Jakovenkoが優勝。
 Chinese Chess Championshipsは丁立人(Ding Liren)が連覇。女子は黄茜が優勝。女子世界チャンピオンの侯逸凡が男子に混じって全中王者を争ったが、平凡な成績に終わってしまった。

 つい先日
Russian Team Championships 2012が終わって、優勝チームはTomsk-400(Karjakin, Ponomariov, Inarkiev, Motylev, Bologan, Khismatullin, Areshchenko, Kurnosov)。

 久々にあの男の棋譜を紹介しよう。
Wijk ann ZeeやTal Memorial、Bilbao Master'sなどの超ビッグトーナメントでしばらく名前を見かけてなかったのでなかなか紹介する機会が訪れなかったが、彼の名前を忘れてしまったチェスファンはいないだろう。

 A.Morozevich vs D.Jakovenko 1-0
 Russian Team Championships 2012 (2)
 Slav Defense: Soultanbeieff Variation

 

 16...h6(上図)
 この手はNに対するスレットというより、白のQxh7#を消すことで、次手で0-0をする準備。私が白ならBa3とNe4からのNd6をプラン軸として指し手を考える。

 17.Bxd5! exd5 18.Ba3 Qc7
 先にd5でマイナーピースを交換してからのBa3。
 もし先に17.Ba3なら驚きの手順が出現する。
 17.Ba3 Nf5 18.Qg4 (18.Qd1? Qb7は黒が良い) 18...hxg5!!

 

 
 19.Bxe7 Rxh4 20.Qd1 c2 21.Qd2 Nh3+ 22.Kh2 Nf4+ 23.Kg1 Nh3+ 1/2-1/2
 今回から重要な変化については赤文字で表記することにした。
 19...Rxh4の後、白のQは黒のNe2+を阻止するためにこう指さざるを得ない。
 白がDrawを避けようと手拍子に23.Kg3??と指せば23...Nh5#になることもご用心。

 この変化を避けるために、20.Qxh4とQを返すと、20...gxh4 21.Bg5(21.Bxh421...c2から黒の手だけ書くが、Nfe2+、Bb7、Kd7からRh8+という一連の流れがあり、開いたhファイルを黒Rに刺し抜かれる) 21...Nh3+ 22.gxh3 Nf3+ 23.Kg2 Bb7 24.Rab1 Be4で白がエクスチェンジアップながらまだまだ不透明な局面。

 17手目の交換の理由は上記のような変化を避けて、依然センターにいる黒Kに対してのアタックを継続するために必要だったのだ。それでは本譜に戻る。

 19.e6! Bxe6 20.Nxe6 Nxe6 21.Qxd5
 eファイルを開けるためにポーンを捨てた。ここの黒の取り返し方は正着で、19...Nxe6なら、20.Rfe1が強力なピンになる。
 本譜なら、20.Rfe1に対して20...0-0-0という縄抜けのような奇手がある。

 21...Rd8 22.Qb3 h5 23.Rfe1

 


 すでにKの安全性やピースのアクティビティで大差がついている。
 白の狙いは24.Rxe6+ fxe6 25.Qxe6+でゲームを決するつもり。
 これに対する黒の防御は直前の手を見れば察しが付くが、眠っていたキングサイドRを上げて6段目から世に出した。

 23...Rh6
 しかし正着は23...Rd3、これなら24.Rxe6+ fxe6 25.Qxe6+ Kd8でdファイル、バックランクともに守れていてまだ粘れる。
 とはいえ23...Rh6が自然に見えるのは仕方ない。私だってこう指すはずだ。

 24.Qb4 Kd7 25.Rac1 Rb8 26.Qa4+ Kc8 27.Bb4 1-0
 27...Nc5 28.Bxc5 Qxc5 29.Re8+でいずれ黒はチェックメイトもしくはRによる串刺しでQを失う。

 
 週末の4/21はチェスのイベントがいくつかあってチェスファンは心待ちにしている。
 まず国内では、Check Mate Loungeが開催され、GM N.Shortが来日し、日本チャンピオンの小島慎也氏と先月の百傑戦での優勝が記憶に新しい羽生善治氏が迎え撃つ。
 このイベントの様子はニコニコ生放送で配信されるそうで、私はすでにタイムシフト予約を済ませた。これを機にチェスに興味を持ってくれる人が増えると嬉しい。

 次にスイスのチューリヒではAronianとKramnikの6局のクラシカルマッチが開幕する。
 クラシカルタイムコントロールでの対局はKramnikの4勝1敗だが、謹直ではAronianが勝っている。Tata以来久しぶりにAronianのチェスが観られる。楽しみだ。

 最後に私ごとですが、岐阜CCの例会も4/21に開催しますので、東海地方でご都合がつく方は奮ってご参加ください。
author:ゆずゆぐ, category:Tournament report, 23:51
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静岡県選手権2012 / BOBBY FISCHER'S OUTRAGEOUS CHESS MOVE
 3月25日の浜松で開催された静岡県選手権に参加してきました。
 結果は2勝1敗1引の2.5/4(倍井さんに負け、高安さんにドロー)でした。
 あれ、愛知県選手権のデジャヴ?

 優勝は全勝で小島さん、2-3位が鈴木さんと倍井さん。おめでとうございます。
 全日本選手権への参加権は倍井さんと私ですが、私はこれを書く前に辞退の旨を連絡させていただきました。日程面や資金面で都合がつかなかったのも一因ですが、現状の私の棋力ではまだ到底全日本では通用しないと今回の成績で痛感した次第であります。
 もちろんいずれは出たいですが、今年は去年の忘れ物であるゴールデンオープンの入賞をきっちり決めてから全日本にステップアップしたいと思います。

 最近は英会話の先生から頂いた『BOBBY FISCHER'S OUTRAGEOUS CHESS MOVE』を英語の勉強を兼ねて読み返している。すでに日本語訳も出版されているのでそちらを読んだことのある人も多いだろう。もちろん私も読んだ。
 何度読もうが、何語で書かれていようがFischerのゲームは読み手を驚かせてくれる。

 翻訳で読んだ時は難易度4や5に設定されているByrne戦(世紀のゲーム)などのコンビネーションばかりが印象に残ったが、今読むと難易度2や3の問題で1ポーンアップを得る手順も、実践的で感心する。

 

 What is the next White's 19th Move? (R.J.Fischer vs H.Mecking)

 上図はGAME 9の出題局面。
 答えは、19.Qxg7+ Qxg7 20.Rxf6 Qxg3 21.hxg3で1ポーンアップなのだが、果たして実践中にQでPを取る発想が浮かぶだろうか?
 さらには、もう1歩踏み込んで、この1ポーンアップはg列のダブルポーンで実質相殺されているからまだ明確に白が勝ったとは言えないのだろうか?

 ではどうすればいいんだろう? 白gポーンと黒hポーンが交換できれば、ダブルポーンが解消できて、残ったポーンがパスポーンになる。
 
 昔の私なら答えを確認した後でここまで考えることなかっただろう。
author:ゆずゆぐ, category:Chess Library, 03:15
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13th European Individual Championship

 私が3月の上旬に観戦していた大会は、日本から5人が参加したCappelle-la-Grande、F.Caruanaが優勝したReykjavik Open、そしてGerman Individual Chess Championship 2012です。
 
 ドイツ選手権で気になったのは、D.Wagner。15歳のFMだが、6.0/9で3-6位の好成績を残した。特に初戦のC.Schindlerとの試合の24手目以降の収束は見事でした。オフィシャルサイトから棋譜をDLできるので気になった人はチェックしてみてください。

 現在開催中なのがタイトルの
13th European Individual Championshipで、トップシードはCaruana。前述のReykjavík Openの優勝や、Tata Steelでの好成績をみるに今年の彼は破竹の勢いでスーパーGMの仲間入りしそうである。

 参加者の多い大会だと知っているマスターの試合をあっちこっち忙しなくチェックしてしまうのだが、気になったのが下記のゲーム。

 
A.Dreev vs S.Ernst 1-0
 13th EICC 2012 (4)
 Slav Defense: Quiet Variation. Pin Defense

 


 19...Rf5+
 白のポーンの乱れが酷い。b列トリプルポーンに、e列、h列のダブルポーン。
 それぞれの列の先頭にいるb6、e5、h5の各ポーンはあっさり落ちそうで、黒の方が指しやすい局面だと思います。
 上図のチェックは白Kをe2かg2(g4)に退かせることで、前者ならBの展開を、後者ならRのgファイルからの活用を妨げる手だ。
 すぐさまポーンを取り返さず、こうしたチェックをちゃんと挿んでおくのが巧い。

 20.Ke2
 
今のところ明色Bにf1-a6のダイアゴナル上で妥当な展開先がないので、g列をRのために開けておく方を選んだ。


 20...Rxe5 21.Rg1 d4 22.Rg8 Rb5

 黒はe5のRをb5-b6でポーンを落とす為にd4を突いてRを横に振れるようにした。
 ただしd4を突いたことでc4が支配下から離れ、f1のBの展開先が出来た。ここから数手の間に眠っていた白のダブルBが動き出す。

 23.Kf3 Rxb6 24.Bc4
 まず明色Bが好位置に着いた。

 24...c5
 d4を補佐しつつ、今度は6段目でRを横に振れるようにした。

 25.Kg2!

 


 上手い手待ちで、予め黒のRf6+からRf5-Rxh5を避けておく。
 ちなみにKg4と上がってKxh5を狙うのは黒Kd7-Be7+があって成功しないし、Rf6が入った時にfポーンの裏からセンターに出る通路を残す本譜の方がいい。

 25...dxe3? 26.Bxe3
 e3でのポーン交換は明らかに白に利がある。これで暗色Bもベストポジションに納まった。単純だが、c5に対するスレットが強力。

 26...0-0-0 27.Rxa5
 ひとまずロングキャスリングでピンを外してc5を受けたが、a5が浮いてそこから白Rが食い破ってきた。
 今度はc5、f7、h7と黒の方にターゲットとなる弱いポーンが顕在化した。
 後はDreevによる見事な収束で上記のポーンたちは狩られ、hポーンが有望なパスポーンに化けて黒は41手目で投了した。

 観戦中はちょこっと別のボードを見ている間に逆転して驚きましたが、こうして振り返ると直後に黒の敗着が出ただけに上図の25.Kg2の手待ちの巧さが目につきました。
author:ゆずゆぐ, category:Tournament report, 01:20
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全日本百傑戦
 3月17日、18日に行われた全日本百傑戦に参加してまいりました。すでに周知の通り、将棋棋士の羽生さんが参加され、5.5/6で優勝です。おめでとうございます。全日本選手権への出場は辞退されましたが、圧巻の実力を示されました。

 成績表はこちら

 さて、私の成績は2勝2敗2引の3.0/6でした。
 勝敗は兵家の常なれど、不本意な成績に終わると悔しい。
 内容的にもブログに挙げるのは恥ずかしい出来だったので、今回は筆のノリが悪いのをご容赦ください。

 百傑戦の収穫と反省点をそれぞれ書くと、

 ~収穫~
 ・時間切迫の状況でも粘り強く指せた。
 ・白番で初手d4の経験を積むことができた。
 ・黒番の対e4対策として準備したPetrov Defenseが今後の実践でも使える見通しがついた。

 ~反省点~
 ・相変わらず序盤の知識が足りない
 ・中盤の優勢からのプランニングの立て方

 私はあまりオープニングの勉強が好きではないが、せめて同じミスを繰り返さないように、序盤から劣勢に回った試合はどこで悪くなったかをチェックはしている。
 今回ショックだったのは、序盤、中盤、終盤の中では比較的自信のあった中盤でのプランニングの拙さです。

 

 Takada,Y vs Sakai,S Position after 23...Qxc7

 例えば、上図は4Rの酒井くんとの試合の局面で、白の私が1ポーンアップしていました。
 まず駒得している時は単純化を目指して駒の交換を考えますが、24.exf5 Bxf4は黒にf列のオープンファイルを与えるのと、次に25...e4で黒マスBの大ダイアゴナルが通ってしまい、あまりよくありません。
 
 悩んだあげく、指したのは24.Nb5?で、b5で交換してcxb5と取り返した時に黒のcポーンを狙うことを考えたのですが、これも良いプランではありませんでした。

 24...Bxb5 25.cxb5 Nxe4 26.Be3と進んで、次に27.Bd3で1ポーンアップは維持できると読めてはいましたが、白のポーンの形が一気に悪化してしまいました。

 帰宅後Fritzでチェックすると、上図では、a1のRをBの斜線上から避けつつ3ランク目から横に振る24.Ra3や、b1-h7のダイアゴナルを強化する24.Bd3が候補手に挙がりました。

 
 駒得の時に単純化を急ぎ過ぎて、自陣を改善して力を溜める手や、狙われている駒を補強したりする類の手が浮かばなくなるのは私の未熟なところの1つしょう。

 結局この後、cポーンを狙うことに固執して、c5かh7のポーンのどっちを取るかという選択を間違えて、Q交換から異色Bが残る展開となりDrawに収束してしいました。


 来週は浜松で静岡県選手権に参加してきます。
 以前書いたとおり、学生時代のラストトーナメントです。締めくくりに相応しい結果を出せるように頑張ります。・・・しばらく麻雀で遊ぶのを控えますね(笑)。
author:ゆずゆぐ, category:Chess Library, 00:04
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3月、4月(S82)の予定
 私のS81は1849(+60)で、自己ベストを更新しました。学生選手権と愛知県選手権を5勝1敗4引でしたので期待通り大きくレイティングを上げることができました。このまま好調を維持してどんどん上を目指します。

 全日本百傑戦 3月17日()、3月18日()
 今まで3日間で行われていた百傑戦ですが、今年は2日間6Rに短縮されたようです。例年50人程度集まるようで、今回の日程短縮で参加者数に影響がなければ、私が過去に参加したどの大会よりも大規模なものになります。楽しみです。

 静岡県選手権 3月25日()
 昨年に引き続き、浜松へ行ってきます。私の学生時代のラストトーナメントです。この日は静岡県選手権以外にも多数の地方予選大会が開催されており、全日本選手権を目指すプレイヤーにとっては熱い一日になりそうです。

 
岐阜CC例会 3月10日()
 なかなか会場を確保できず申し訳ありません。なんとか大垣のアクアホールを予約できました。年度変わりの3月・4月は予定が立てにくいです。4月の例会は入社後に社内カレンダーを確認してから考えます。

 GM来日
 3月25日()にAlexander Chernin、4月22日()に
Nigel Shortが来日し、同時対局を行います。前者は静岡県選手権と被ってしまっているため断念せざるをえないですが、後者は都合さえ合えば参加したいです。懸念としては私が申し込む頃には参加希望者が定員に達しているのではないか、ということですが。
author:ゆずゆぐ, category:Chess Library, 22:32
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Aeroflot Open 2012
 Aeroflot Openの前に、ここ数日に開催された2つの大会の結果を先に書いておく。IvanchukやShirov、Mamedyarovなど8人が集まったPetrov Memorial(ブリッツ大会)はA.Morozevichが単独優勝。今年はBig Tournamentでの露出が増えると嬉しいぞ。アイルランドではBunratty Chess Festivalが開催されて、Masters SectionでShort、Jones、Adamsの3人が同点首位に並んだが、タイブレークでAdamsが優勝した。

 Aeroflot OpenはEljanov、Korobov、Bartelの3人が同点首位だったが、タイブレークでBartelが優勝し、Dortmundへの切符を掴んだ。

 
H.Melkumyan vs D.Khismatullin 1-0
 Aeroflot Open 2012 (5) 
 Queen's Gambit Declined: Modern Variation
 
 1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nc3 d5 4.Bg5 Be7 5.Nf3 h6 6.Bxf6 Bxf6
7.e3 O-O 8.Rc1 c6 9.h4 Nd7 10.g4 Re8
11.g5 hxg5 12.hxg5 Bxg5 13.Nxg5 Qxg5 14.f4?!

 


 白のMelkumyanは奇しくも私と同じ1989年生まれ。去年からAronianのセコンドを務めている。
アルメニアチェス協会のTopリストによると現在国内8位。今年のオリンピアードに出てくるかは微妙なところだが、伸び代に期待しておきたい。
 本譜はhファイルを開けるために1ポーン捨てて、さらにfポーンまで突いた。これは黒のe5突きを消しているが、14...Qg3+があって指しすぎにも見える。当然黒もそう指してきた。

 14...Qg3+ 15.Kd2 Nf6
 ここで15...Qf2+を入れておいて、Q交換を誘うか、16.Be2と指させて白のQがhファイルに展開されるのを邪魔しておくこともできた。Fritzで調べるとこのチェックに対して16.Kd3とは出来ない。16...dxc4+ 17.Kxc4で白Kが中央で孤立する。
 もちろん本譜の15...Nf6でも悪いわけではない。
 
 16.Qe2 Qg6?
 Qを退いてしまったのが悪手で、白にQとRを重ねて大砲を用意させる余地を与えてしまった。

 17.Qh2 Qh6 18.Qg2 Qg6 19.Qh3 Qh7 20.Qf3
 ダンシングクイーン。黒は17.Nh7でhファイルを閉じることができない。
18.Bd3 f5 19.Rcg1で受けきれない。19手目でも同様。

 20...Ne4+ 21.Kc2!

 


 ディスカバリーチェックを恐れない。21...Ng5+ 22.Rxh7 Nxf3 23.Rh3 Ng1 24.Rg3で黒Nが助からないと読み切っている。
 c3のNを残しておくことで、後々e4経由でf6やg5で活用する可能性を残した。
 以下の流れは大差で、白はBd3-Rcg1と理想的なセットアップを済ませ、黒Kに押し寄せた。
 
 21...Qf5 22.Bd3 g6 23.Rcg1 Kf8 24.Rh7 Rd8 25.Qh1 Bd7
26.Bxe4 dxe4 27.Rg5 1-0

author:ゆずゆぐ, category:Tournament report, 01:09
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